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美松園 真鍋和夫

種から作るこだわりの五葉松
高村雅子
高村雅子
盆栽妙 店長
  • 更新日:2022/8/29
  • 投稿日:2022/8/29
  1. 職人
美松園 真鍋和夫

樹齢0年から数十年物まで

美松園の真鍋和夫さんは園の2代目。会社勤めを定年退職後に後を継ぐ。
四国中央市では大きな盆栽のみ生産する農家が多いなか、美松園では小さい盆栽も積極的に生産している。種から育てた実生みしょうや、山で自然に発芽した小さな苗を採取して鉢に仕立てる山取りの松を育てる数少ない園であり、愛好家からの人気も高い。

時間と手間をかけて作る本当の五葉松盆栽

毎年五葉松の種を採取しており、実生で盆栽を作り続けている。愛媛のお隣りの産地である香川県高松市では、黒松の台木に五葉松をつなげた接ぎ木の五葉松を主に生産している。黒松の方が強健な性質のため成長が早く、台木として使用すれば丈夫で育てやすい五葉松の苗を作ることができるのである。
しかしここ四国中央では五葉松の実生にこだわっており長い年月と手間暇をかけてでも、種から成長した自然の五葉松の生産を続けている。本物の盆栽として愛好家からの評価も高い。

松ぼっくり 実生の五葉松

自然の中で生まれた貴重な松を手元に

赤石山に自生する五葉松に実った松ぼっくりが地面に落下し、ばらまかれた種が発芽して、松の木の根元に幼い五葉松が生える。成長の遅い五葉松は数年経っても数センチの苗木のサイズだが、自然で育った五葉松はたいへん質が良く貴重なもの。これを採取して鉢の中でさらに年月を掛けて育て山取りの五葉松として仕立てていく。山取りの五葉松は価値が高く、作ればすぐに売れてしまうほどだが、山の中から里に下した際の環境の変化で苗木が育たないことも多い。また単純に、深い山に自生する五葉松にたどり着くまでの道のりは険しく、採取は困難を極める。年々その数が減っていくことは想像に難くない。
難易度の高い山取りの五葉松の生産を続ける情熱は並大抵のものではないだろう。

苗木 苗木を持つ真鍋さん 真鍋さん

愛情込めてじっくり育てる

種から生産を手掛ける美松園。数年、数十年単位の作業が当たりまえの盆栽生産の中でもとりわけ気の遠くなるような時間を要する。根気強く生産を続けられるのはひとえに盆栽に対する熱意だろう。
最近の住宅事情や高齢化などによるニーズの変化に伴い、小品盆栽の人気により小さな苗木の需要も高まっていると聞く。大きな盆栽だけではなく小さな盆栽の生産にも力を入れる美松園は、初めての一鉢探しにもお勧めできる盆栽園だ。

美松園 真鍋和夫

美松園棚場

住所
愛媛県四国中央市土居町上野2811
TEL
0896-74-2533

この記事を書いた人

高村雅子
高村雅子
盆栽妙の店長 盆栽家。三重県鈴鹿の田舎生まれ。大学進学を機に大阪に出て卒業後は秘書として企業で働く。結婚して退職、子育てに奮闘。子供も大きくなり、自分の時間が持てるようになったので、かねてより大好きだった植物をもっと勉強するべく、盆栽の世界へ踏み入ることに。同郷の盆栽職人 太田重幸に師事し、盆栽の奥深さを修行した後、自宅で教室を開業。2007年にインターネット盆栽販売店 盆栽妙をオープンし、盆栽メルマガ登録数日本一に。盆栽はじめるサポートに日々奮闘中。

この記事のキーワード

  • 四国中央市
  • 赤石五葉松
  • 生産地
  • 職人

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