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赤石五葉松とは

盆栽のブランド「赤石五葉松」を徹底解説
高村雅子
高村雅子
盆栽妙 店長
  • 更新日:2022/9/04
  • 投稿日:2022/9/04
  1. 赤石五葉松
赤石五葉松とは 愛媛県四国中央市土居町の東赤石山(1706m)を中心とする赤石山系一帯に自生する赤石五葉松は、太古より自生する五葉松で、昭和32年(1957年)12月4日をもって、赤石山鉱山市区物の1つとして、愛媛県指定天然記念物となっています。

愛媛県四国中央市土居町の東赤石山(1706m)を中心とする赤石山系一帯に自生する赤石五葉松は、太古より自生する五葉松で、昭和32年(1957年)12月4日をもって、赤石山鉱山市区物の1つとして、愛媛県指定天然記念物となっています。

雄大な自然に自生し続ける五葉松

赤石山系一帯の急斜面にはあすなろ、コメツガ、ドウダンツツジ等を従えつつ、広大な五葉松の原種がひしめく原生林となっています。何万本となく自生する五葉松は数百年もの歴史を重ね、模様木あり、懸崖あり、ジンあり、シャリあり、すべての盆栽樹形の見本が、ここに集まったとの感があります。

すでに徳川時代から名を知られており、盆栽会では非常に珍重されてきました。そそり立つ断崖絶壁のほんの少しの亀裂から、崖に沿ってへばりつくように成育し、厳しい風雪に耐え抜き、今なお気高い姿を保っている様は、これ以上ない趣を讃えています。

特徴的な樹形と性質から盆栽の王道に

赤石五葉松

葉が細かく短く、樹形の優美さから、「ヒメコマツ」の別名もある赤石五葉松。他の松は葉が大体2本ですが、五葉松は5本あり、日本特産種で、大きいものは樹高30メートルにも達します。

強健で仕立て方はさまざま、早くから幹肌が荒れて古さが出てくる荒皮性に富んでいます。芽吹きは非常によく、前述したように、葉性は鮮やかな緑で葉裏の銀線は濃く、よくつまって育ちます。

美しい姿形と、成長の特質、管理の手軽さから盆栽や庭木に好適種とされ松盆栽の大変人気の樹種となっており、まさに盆栽用として理想の性質を備えています。

盆栽家の間では、「盆栽は五葉松に始まり、五葉松に終わる」とまで言われるほど、盆栽の醍醐味を備えた類まれな品種です。

松の代表的な種類の1つ、威風堂々とした風格の黒松が「盆栽の王様」なら、葉性が細やかで優美な佇まいの五葉松はさしずめ「盆栽の女王」と言えるでしょう。

盆栽の女王として

赤石五葉松

「古事記」(和銅5年(712年)太安万侶の編纂による)の記述に、伊邪那岐(いざなぎ)の命と伊邪那美(いざなみ)の命が国生みをしたとき、「伊予の国を愛比売(えひめ=伊予の国に宿る女神)といひ」とあります。

「愛比売」には、可愛い姫、美しい姫という意味が込められているそうで、「愛比売」から転化したのが「愛媛」であり、全国でも、神話の中の神様の名前を県名にしているのは愛媛県だけだそうです。

ヒメコマツという原種、エヒメケンという地名、やわらかさと女性のしなやかさを体現したような赤石五葉松。原種名、県名、赤石五葉松の優美な姿形も相まって、「盆栽の女王」と言われるのもうってつけです。

原種を守り続けて

赤石五葉松

古から変わらぬ姿で、原生林を形成する、赤石五葉松。赤石山にて今なお美しい状態を保っているのも、昭和30年ごろから、種の乱獲や樹の伐採という人災ともいうべき有事から、昼夜を問わず見回りし、あらゆる対策を立て地元の自警団が守り抜いた努力の賜物です。

今でも、赤石五葉松盆栽組合員一同が過去の伝統と豊富な経験を活かしつつ、最高品質の「赤石五葉松」を作り上げるべく、培養に取り組んでいます。

盆栽は、壮大な自然や、雄大な時の流れを感じさせるものであり、盆の上に、自然の樹、樹をとりまく景観さえをも投影した、自然の縮景です。

五葉松の盆栽はまさに赤石山の原生林の縮図、縮景であります。繊細で優美な中にどこか一本芯の通った強さを思わせるのも、地元の人に守られた原生林の姿を、盆上に投影した「盆栽の女王=赤石五葉松」ならではかもしれません。

赤石五葉松の特徴

・葉性はあざやかな緑
・葉裏の銀線は濃い
・よくつまって育つ
・幹肌は早くから古さが現れる性質を持つ
・非常に芽吹きがよい
・姿形が美しい

この記事を書いた人

高村雅子
高村雅子
盆栽妙の店長 盆栽家。三重県鈴鹿の田舎生まれ。大学進学を機に大阪に出て卒業後は秘書として企業で働く。結婚して退職、子育てに奮闘。子供も大きくなり、自分の時間が持てるようになったので、かねてより大好きだった植物をもっと勉強するべく、盆栽の世界へ踏み入ることに。同郷の盆栽職人 太田重幸に師事し、盆栽の奥深さを修行した後、自宅で教室を開業。2007年にインターネット盆栽販売店 盆栽妙をオープンし、盆栽メルマガ登録数日本一に。盆栽はじめるサポートに日々奮闘中。

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