本田園 本田喜彦
- 動かざること 盆栽 山のごとし
- 高村雅子
- 盆栽妙 店長
- 更新日:2022/9/02
- 投稿日:2022/9/02
- 職人
趣向のことなる異色の盆栽
本田さんの盆栽は他の盆栽とは趣がことなる。普通は1本の自然の木を見立てて盆栽に仕立てるのだが、本田さんの盆栽は、盆栽自体が山のような形をしている。自分の庭に置いていつも山を眺められるのはいいなと思う。いろいろな盆栽を見てきたがこのような形はなかなか見ない。この枝がどうだとか、根張りとか、幹の荒れ具合とか、よく愛好家のなかで自慢し合う話が一切通じない盆栽だ。見えるのは生い茂った葉だけだが、有無を言わせない趣がこの盆栽にはある。
先代から引き継いだ盆栽
このような形状の赤石五葉松が畑に500本植えられている。畑は、いくつもの山が連なって山脈のように見える壮観な景色だ。先代から引き継いだ本田さんに一般的な盆栽のように仕立て直すという選択肢もあったがそうはしなかった。この特徴的な山型の形状を作り続けた先代の思いをも引き継ぎ現在に至る。
続けてきた先にあるもの
大きめの樹のため棚場は2反もあるが、園主の本田さん一人で管理を行っている。ツリーのような樹形の五葉松を引き継いで50年余り育てているのだ。この盆栽は針金をかけて樹形を整えるのとは全く違い、自然のようで、かつ作り込んだ樹である。本田さんはどんな暑さ寒さでも畑にでて樹の手入れをしているという。盆栽は何百年も生き続ける。本田さんの作業は道半ばだという。その終わらない作業はいずれ後継者に引き継がれ、本田さんの思いもまた何百年と生き続ける。盆栽の価値は思いの深さなのかもしれない。
本田園 本田喜彦
住所愛媛県新居浜市船木高祖5108番地
この記事を書いた人
- 高村雅子
- 盆栽妙の店長 盆栽家。三重県鈴鹿の田舎生まれ。大学進学を機に大阪に出て卒業後は秘書として企業で働く。結婚して退職、子育てに奮闘。子供も大きくなり、自分の時間が持てるようになったので、かねてより大好きだった植物をもっと勉強するべく、盆栽の世界へ踏み入ることに。同郷の盆栽職人 太田重幸に師事し、盆栽の奥深さを修行した後、自宅で教室を開業。2007年にインターネット盆栽販売店 盆栽妙をオープンし、盆栽メルマガ登録数日本一に。盆栽はじめるサポートに日々奮闘中。
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