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盆栽インストラクター 井上訓臣

プロも一目置く 再生の達人
高村雅子
高村雅子
盆栽妙 店長
  • 更新日:2022/8/25
  • 投稿日:2022/8/25
  1. 職人
盆栽インストラクター 井上訓臣

地元で知らない人はいない盆栽協会認定のインストラクター

日本盆栽協会の認定インストラクターの資格を持つ75歳の井上訓臣さんは、日本盆栽協会会員であると共に赤石五葉松組合事務局長でもある。地元で知らない人はいないというほどの有名人だ。1000鉢ほどの盆栽を管理しながら、この地を訪れる人々に赤石山や地域についても興味深い話を聞かせてくれる。 井上さんは盆栽屋ではなく盆栽愛好家という立ち位置だが、その技術は生産のプロも一目置くほどの腕前。井上さんが手にした盆栽は作り込んでいくにつれ魅力がさらに引き出され、手を入れる前の印象とはガラリと変わった盆栽に“再生”されるから驚きだ。

イメージをどんどん膨らませて盆栽を生まれ変わらせる

どうしてそこまで印象が変わる盆栽に再生されるのかを聞いたところ、どこまでイメージを膨らませられるかだ、と答えた井上さん。今、正面からみてまっすぐに植わっている木を極端に傾けて植えたり、上部の幹や枝をごっそり剪定したりすることで盆栽のイメージは全く違うものになると言う。他の人がどうにもならないと投げ出した荒れ放題の盆栽ですら、井上さんの手にかかると展示会に出展されているような美しい造形に生まれ変わる。井上さんが地元で「再生の達人」と呼ばれる所以がここにある。

井上訓臣3 井上訓臣8

長年培ってきた技術で小さく仕立てる

井上さんの手にかかれば、大きな庭木ですらあっという間に小さく仕立てて盆栽へと生まれ変わらせてしまう。 「小さな木を大きく立派な盆栽にしていくには時間がかかるけど、大きな木を小さく盆栽にする方が早いでしょ」と笑いながら説明してくれたが、それは言うほど簡単なことではない。ずらりと並べられた盆栽道具がそれを物語っていた。

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赤石山をこよなく愛し、自然の風景を慈しむ

井上さんは盆栽のみならず、和の風景を作り上げることも楽しんでいる。いくつも並べてある睡蓮鉢にはメダカが気持ちよさそうに悠々と泳ぎ、睡蓮鉢の縁に置かれた山野草や小品盆栽が水に影を落とす。 また、菫泥石きんでいせきと呼ばれる四国中央市東赤石山産の石を収集している。緑泥石の一種で、クロムを含むために特有の色をなしている石だ。赤石山をこよなく愛するからこそ自然の美しい景色を目の前の盆栽に重ね合わせ、自然と盆栽が一体化する和の風景と共に年月を重ねていく生活を井上さんは日々慈しんでいる。

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次の世代の人達にも盆栽の魅力を知ってほしい

井上さんは同世代の仲間と共に盆栽育成に力を入れ、赤石五葉松組合事務局長として赤石五葉松の美しさを一人でも多くの人に知ってもらいたい、残したいと願って盆栽の管理に勤しんでいる。樹は1本1本みな違いがあり、一つとして同じものはない。樹の個性を見出し、どんな樹形にすればその樹がより一層いい樹になるかを見抜く力があれば、その樹を生命感にあふれる樹へと導くことができる。その役割を担うため、自分が持っている技術を惜しげもなく伝えていきたいという。

盆栽インストラクター 井上訓臣

井上訓臣

住所
愛媛県四国中央市土居町上野関の原3647
TEL
0896-74-3876

この記事を書いた人

高村雅子
高村雅子
盆栽妙の店長 盆栽家。三重県鈴鹿の田舎生まれ。大学進学を機に大阪に出て卒業後は秘書として企業で働く。結婚して退職、子育てに奮闘。子供も大きくなり、自分の時間が持てるようになったので、かねてより大好きだった植物をもっと勉強するべく、盆栽の世界へ踏み入ることに。同郷の盆栽職人 太田重幸に師事し、盆栽の奥深さを修行した後、自宅で教室を開業。2007年にインターネット盆栽販売店 盆栽妙をオープンし、盆栽メルマガ登録数日本一に。盆栽はじめるサポートに日々奮闘中。

この記事のキーワード

  • 四国中央市
  • 赤石五葉松
  • 生産地
  • 職人

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